福生通信

自転車であちこちに行った備忘録

十何年か前にDTMをやっていた時の話

時代はプログレからテクノポップに移行を始めた時期だった。シンセサイザー。その機械的で宇宙的な広がりを持つ音はとても新鮮で自分を魅了した。
テレビ番組で富田勳がホワイトノイズをフィルターにかけてエンベローブを付けて口笛の音に加工していた。理論的にはどんな音も作れると言っていて機械好きの自分はたまらなく魅力を感じる。いじってみたい。しかしその当時のシンセサイザーは何百万円という値段で一般的ではなかった。
時代は少し進み電子楽器もテクノ系だけでなく普通に使われ始めていた。80年代、松田聖子の曲でエレピ系の透き通るような金属音が使われているのを耳にする。今までに聞いた事が無いような音。この楽器はなんだろう?しばらくしてそれがYAMAHA DX-7と言うデジタルシンセサイザーだと言う事がわかった。松田聖子の曲は時期的にその前身の機種だったのだろうが、同じFM音源を使った楽器である。
デジタルシンセサイザー。なんて素敵な響きだろう。テクノロジーが作り出した異次元の音。今までのアナログはフィルターでカットして音色を作っていたので音が曇るのだが、デジタルシンセサイザーは簡単に言うとサイン派を変調して倍音を作り出すので音が抜け方が違う。この楽器を使って音楽をやってみたいと思うようになる。電子楽器は電子機器と同じで日進月歩である。時間が経てば、より高機能で低価格になる。(最近の携帯電話(503あたりから)に同じような音源が入ってるのを知った時にはちょっと驚いた)そしてついにDX-7IIを手に入れる。
最初は音を作って歌謡曲の楽譜買ってきて、まともに弾けないのだが遊んでいた。リズムマシンシーケンサーエフェクター、さらにシンセの歴史に新たな1ページを加えたと言える機種、コルグM1や他音源やサンプラーを買い足して少しずつDTM環境が整ってくる。
これで頭の中に浮かんだ音楽が形になる!と思ったが、中学校で習ったようなコードとメロディ程度の知識しかないので、まともな音楽など作れない。どうすれば洋楽みたクールな曲が作れるのか。音楽雑誌を読んだり、楽譜を買ってきてコード調べたり、気に入った曲は同じような音を作ってコピーをしまくる。
その頃のお気に入りはPaul HardcastleがプロデュースするThe Jazzmastersだった。都会的でクリアなサウンドにJAZZのテイスト。しかも大部分は打ち込みで自分の持っているシンセに入ってるような音がセンス良く使われている。何曲かコピーして謎が解ける。コードを2つしか使っていない。
そしてもうひとつのポイント。
絶対に触れてはいけない鍵盤がある。その鍵盤の音を出すとたちまち雰囲気が崩れてしまう。
とりあえず素人の独学範囲なので理論なんかわからないが真似して作ってみる。あー、これだ、でもまるっきりパクリっぽい。やっぱ音楽といい芸術ってセンスと才能の世界なんだと分り始めてくる、それが自分には無い事も。
簡単に書いたがここまで来るのに3年くらいシンセをいじっていた。
これがその時に作った曲