福生通信

自転車であちこちに行った備忘録

築地市場

15,6年くらい前の夏の日。解体工事の仕事をしている友人が早朝突然たずねて来て、夢の島ゴミ処分場に夢建築廃材を捨てに行くので一緒に行こうと誘われた。
4トントダンプに乗せられて早朝の空いている都内を走り夢の島に向かう。
倉庫ばかりでガランとしている東京湾埋立地の突端まで行くと、ゴミ処理場へ続く海底トンネルがあった。業者である証明書のようなものを提示してトンネルに入って行く。
トンネルを抜けると、そこには、ゴミの島があった。
見渡す限り10メートルくらいに積み上げられたゴミの山。テレビの映像では見たことがあったが、実際に見ると凄い光景である。
立ち込めるゴミの臭い。たくさんのカラスがゴミに集っている。
それでもちゃんとした島になっていて舗装された道路や信号まである。
ゴミの山の間を走り、係員に指示されて積んできたゴミを下ろす。
帰りには、出入り口付近にある巨大なシャワーでダンプ丸ごと水浴びをする。
仕事が終わり築地市場に朝飯を食いに行こうと言う。市場に行くのも初めてだった。
たくさんの魚屋と人でひしめく場外に入って行くと、小さな定食屋があった。
ご飯と味噌汁をもらい、おかずは棚に並んでいる好きなものを取って行く。
無骨に切られて盛られただけの刺身とコロッケを選んで持っていく。
美味かった。
それは今までの人生で美味いと思った食事のひとつだった。
 
今週末は秋の長雨にたたられた東京地方。
そんな思い出がある、築地市場に行ってみることにした。
小さな商店が立ち並ぶ光景は昔と変わらないが、ところどころに一般客向けのファミリー寿司店が何件も立ち並んでいた。
多分入る店にもよるのだろうが、味に関しては全く普通だった。可も無く不可もなく。値段は回転すしの3〜4倍、コストパフォーマンスを考慮すると微妙なところだろうか。
食後、場外を歩いてみる。
リアルに昭和を残していた。今や東京でこういう場所は貴重だと思う。
しかしそんな築地市場も近代化の波が襲いつつある。豊洲に最新物流システムを導入しての移転計画があがっているようだ。