福生通信

自転車であちこちに行った備忘録

モヤイ像

渋谷駅を降りて待ち合わせのモヤイ像を目指すものの久しぶりの渋谷駅で全く方向がわからない。
適当に駅の外に出ると意外とすぐ側にあった。
土曜、18時の渋谷は何かイベントでもあるのかと思えるほどの人で溢れ帰っている。
柵に座って街を眺める。
高架の首都高3号線、洗練されてないデザインのビルが雑然と立ち並ぶ渋谷らしい眺めである。
秋が深まり昨日あたりからめっきり気温は下がったが、自宅付近と比べると都心は暖かい。
沢山の人が待ち合わせをして、出会って、街の中に消えて行く。
昭和55年に置かれたモヤイ像はこんな光景を毎日見続けているのだろう。
自分もほどなく3人の友人達と合流して目的の飲食店に向かう。
 
アナログレコードからJazzが流れている。
地下にある狭いイタリアンの店。
静かな店内で他の客はカップルが一組だけだった。
我々が入ってきてうるさくなってしまっただろう。
特に乾杯することもないのだが、まずはビールで乾杯。
ここのところアルコール類を口にしていなかったので、美味いと言うより違和感を感じる。
メニューにはただの生ビールとしか書いていなかったが、金属のカップに入れられてキメの細かい泡で入れ方でも違うのだろうか、口当たりがとてもいい。
壁の黒板に書いてある料理も適当に注文する。洗練された味ではないが家庭的な味が美味い。
話題はガンダムで盛り上がるが、ガンダムを見ていなかったというかその世代じゃない自分はよくわからない。
ボジョレーヌーボーを飲みたいと自分が提案したことがこの店にくるきっかけだったので、ボジョレーを注文する。
いかにもボジョレーらしい軽く若い味がする。
最近のドラマのこと、今度は食材持ち寄りで集まろうとか、何の利害もない友人とお気楽な話題で飲めるのは心地いいひとときである。
ワインを4本空けて、まともに歩けない友人一名をかかえて店を出る。
 
次の店を探して街の雑踏を歩く。気の早いクリスマスの電飾。少しだけ冷たい風が気持ちいい。
自分もかなり酔いが回って抱えてる友人と共に倒れそうになる。よくありがちな酔っぱらいの光景がおかしくて大笑いしてしまう。
駅前を通るとまたモヤイ像が僕たちを眺めていた。
きっと彼のアーカイブに今夜の僕たちも記録されたのだろう。